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目次
ごきげんよう!
旅気分が味わえる自宅から最も近い場所を探り続けるソロトリライター、ヤマダイクコです。
今回のテーマは、2023年10月の渋谷一人旅(1泊)。
2015年に青山劇場・青山円形劇場が閉館、2023年にはBunkamuraが休館になり寂しい限りですが、街も人も変わり続けるもの。
長年「渋谷はアウェーだ」と思っていましたが、久しぶりに行ったらむしろ異国、もはや異世界でした。
コロナ禍、旅の禁断症状と試行錯誤
時間とお金の都合がつけば海外逃亡、もとい、気軽に海外旅行を楽しんでいた2010年代。
ところが、2020年の新型コロナウィルス感染症流行により状況は一変しました。
旅は心のオアシス、禁じられると余計に旅したくなるのが人情というもの。
日常生活の中でどうにかして旅気分を味わえないものかと試行錯誤しました。
その一つが、近所の料理店で外国料理を食べる試みです。
海外旅行中のように料理を食べに出かけ、食事を楽しみつつ料理を観察、帰宅してから記憶をもとに絵を描いて記録します。
外食の写真(資料写真)を撮りたいと思っても、己の旺盛な食欲に勝てなかった学生時代。
空になった皿、敗北感、珍しく撮ったと思えばブレている。
そこで、店内では写真を撮らないと決め、代わりに料理を見て覚え、後で描くことにしました。
料理はでき立てを食べたい!(料理人へのリスペクト及び食欲)
写真を撮るところを店員に見られたくない!(羞恥心及び自意識過剰)
※細部を忘れても、ネットで検索すると参考になる写真が見つかります。便利な世の中になりました。
何度か外国料理を試した後で、初めての味に出合うのも楽しいけれど、記録することに「旅っぽさ」があると気づきました。
料理を味わうことだけでなく、あれこれ細かく記録することが私の旅の楽しみ。
逆に、「旅行中に特有の行動」を意識的に盛り込むことで旅気分を強化できるのではないか、と仮説。
つまり、旅気分を盛る。
準備段階でも、旅行日程表・旅行前のチェックリストの作成(Excelで作成・印刷)など、がっつり取り組んでみるとテンションがじわじわと上がりました。
※個人の感想です。
そもそも「旅」って何だ?
外泊しても旅と帰省とでは違う気がするし、「日帰り旅行」もあるし、乗り物に乗らない旅もある。
旅と外出は何が違うのか、国語辞典やネットで調べてみました。
ざっくりまとめると、「旅」は「毎日の生活(日常)の枠から離れた、遊びや楽しみを目的とするもの」のようです。
つまり、非日常を楽しむもの!
ならば全力で遊びたい!
我は、ホモ・ルーデンス(遊ぶ人)!
※ホイジンガの提唱する、人間の特質は遊び・遊戯にあるという人間観。
渋谷の坂道を何度走ったことか
その昔、中学~高校時代にテレビで見た渋谷はコギャルの聖地でした。
渋谷駅前のスクランブル交差点を初めて渡った時の緊張は今でもはっきり思い出せます。
複雑な構造の渋谷駅や、駅から放射線状に広がる道、微妙な傾斜に翻弄され、開演時間が迫る中、2回に1回は劇場への道に迷った学生時代。
江戸時代は緑豊かな地域、明治初期には西郷隆盛が渋谷・青山界隈でアウトドアスポーツ(兎狩り)を楽しんだそうなのですが、開発の末まさかのコンクリートジャングルに変貌。
渋谷の繁栄恐るべし。
※上野公園の西郷隆盛像は腰に縄罠(兎罠)を下げ、愛犬ツン(薩摩犬)を伴っている。
というわけで昔から渋谷に苦手意識がありますが、2023年秋に興味深い展覧会の開催、しかもギャラリートークもあると知りチケットを即予約。
開催時間は夕方~夜、鑑賞後に渋谷駅周辺の混雑と帰宅ラッシュを耐え抜いて自宅まで帰る自信がないので、渋谷駅から徒歩圏内のホテルも予約。
お金で解決!
宿選びはクオリティよりもコスト優先なので狭い部屋に泊まることが多いのですが、限られた空間に必要なものをぎゅっと詰め込んだ幕の内弁当のような間取りが面白い。
幕の内弁当は、駅弁、デパ地下、弁当屋、お店によって違いますよね?
ホテルの間取りも似ているようでみんな違います。
ベッドは白飯(重要)。
自宅では試したことのない色やデザインのファブリックや、家具、配置を体験できるのも外泊の楽しみの一つです。
おのぼりさん、アクセル全開!
最近は自宅から半径500m圏内が生息域の引きこもりっぷりなので、渋谷のような都会of都会に行くのは完全なる非日常です。
※1か月の97.5%の時間を自宅から半径500m圏内で過ごしていることが判明(2024年6月調べ)。
恐る恐る渋谷駅から出ると、大音量のド派手な広告宣伝車への動揺から始まり、人々の歩くスピードの速さにうろたえ、若い人や外国人がたくさんいるのに驚き……ここは都会過ぎる。
でも、徒歩圏内にデパートや雑貨店が数えきれないくらいあるなんて夢みたい!
展覧会をたっぷり楽しんでテンションUP。
街は日が暮れてもにぎやかですが、黒い夜空に派手な照明、遊びに出かける人々の楽しげな声などが加わって雰囲気が変わります。
旅の夜、全力で楽しみたいですよね?
夜中だけど、ケーキまたは揚げ物を食べてもいいよ!(高カロリー解禁)
ホテルの近所のハンバーガーショップでフライドポテトを注文。
ワクワクが止まらない。
部屋に戻ってポテトと幸せを噛みしめました。
※Lサイズを注文したい気持ちをぐっとこらえてMを注文。大人になりました!
窓の向こうで数人が外国語を話しながら歩き、大笑いする声が聞こえました。
おやおや、楽しいお酒、素敵な夜ですね。
翌朝、ゆっくりすごして部屋を出ると、廊下で客室清掃員がヒソヒソと外国語で打合せをしながら準備をしていました。
フロントでは、外国人観光客のグループが手続き中、ロビーからも外国語が聞こえてきます。
周囲から日本語が聞こえず、寝起きで頭がぼんやりしていたこともあり、外国にいるような心地がしました。
ここ、どこ?
秋晴れのさわやかな朝、開店前の店が並ぶ少し静かな街並みを眺めつつのんびり歩いて渋谷駅へ。
通勤ラッシュの時間帯を避けて乗車、午前中に電車で自宅に向かうのも珍しいことです。
海外旅行の最終日、空港から自宅に戻る時の安心感と一抹の寂しさを思い出しました。
旅の魔法が静かに解けていく。
さて、次はどこへ行こうか。
それではごきげんよう、よい旅を!