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ごきげんよう!
旅に出ると美術館に行きたくなるソロトリライター、ヤマダイクコです。
東京で大人気の展覧会にはあまり行きません。
行列も混雑も苦手。
のびのびと、自分のペースで見て歩きたい。
気になる作品は、立ち止まってじっくり味わいたい。
絵画・彫刻作品に限らず、アートは言葉の壁を超えるもの。
キャプションの外国語の解説が読めないから、逆に作品の鑑賞に集中できたこともありました。
勇気を出して、自分の体をその空間にぽんと置くだけ。
今回は2014年夏、デンマークの「ルイジアナ美術館」に行った話です。
※Louisiana Museum of Modern Artは「ルイジアナ近代美術館」とも「ルイジアナ現代美術館」とも翻訳されます。ここでは「ルイジアナ美術館」とします。
そんなにいいところなの?
ノルウェー&デンマーク旅行を計画していた頃、旧友に薦められたのが「ルイジアナ美術館」でした。
「コペンハーゲンからちょっと遠いし、あなたは昔から浮世絵とか印象派とかが好きで、現代アートとか前衛とかは趣味じゃないってことは承知の上だけど、それでも本当に、本ッ当~に!素敵な庭で!カフェも素敵だから!」
さすがは高校時代の美術部の仲間よ。私の趣味を熟知した上での、ハイスピードかつホットなプレゼンに心打たれた……というよりは、その美術館の何が彼女のハートに刺さったのかに興味を持ちました。
正直なところ、あまり興味のない現代アートを見にわざわざ電車で出掛けるのは面倒くさい。
しかし、これから彼女の顔を見るたびに「あんなに薦められたのに行かなかったな、ごめん」と心の中で謝るのは嫌なので、都合をつけて行くことにしました。
所変われば鉄道変わる
コペンハーゲンのカステレット要塞(函館の五稜郭のような星形要塞)の近くにあるØsterport駅から電車に乗ります。
切符の買い方がよくわからなかったので窓口で相談しました。
こういう時の英語は「セサミストリート」のテーマ曲を参考にします。
(Can you tell me) how to get to 場所 ?
実際は、おびえながら「Where?」あるいは「How … to go?」と言うのが精一杯です。
大丈夫、地図や地名を指させばわかってくれる。
私の英語力(3語以内で話したい)を察してくれたのか、やさしい英語で丁寧に教えてくれました。
デンマークの公用語はデンマーク語ですが、旅行中どこでも英語が通じました。
※北欧は非英語圏ですが、各国で英語教育がさかんなようです。
デンマークの鉄道はピクトグラムの使い方が大胆かつ巧妙。
自転車可の車両には、真っ赤な車体に白い自転車のマークがかなり大きく描かれているので、遠くから見てもすぐにわかります。
車内に自転車用の車輪止めもあります。
デンマークは平地が多いので、自転車を利用する人、自転車旅行をする人が多いのかもしれません。
自転車を分解・袋詰めしなくても電車に乗れるのは便利ですね。
アート鑑賞+お屋敷探訪?
Humlebæk駅から閑静な住宅街をひたすらまっすぐ歩いて約10分、美術館に到着しました。
案内板があったから「どうやらここらしい」とわかりましたが、外観は庭木の生い茂る住宅です。
実は個人の邸宅を改装して美術館を作ったのだとか。
高い天井、大きな窓、広々とした部屋、まっすぐな廊下など、簡素でモダンな建物。
なんとも居心地がよく、そしてなかなかの豪邸です。
大きな窓の向こうには、草木の緑あふれる美しい庭が広がっています。
あちらこちらにさりげなく配置されている絵画や彫刻の絶妙なバランス。
人工物と自然の調和。
奇抜な形や独特な色使いの作品さえ、すんなりなじんで見えるから不思議です。
きっと旧友は、アートとそれを取り巻く空間が醸し出すこの素敵な雰囲気を気に入ったのでしょう。
これは、実際に来てみないとわからない。
アートを感じるままに、自由に!
デンマークの人たちが大切にしている「ヒュッゲ(Hygge)」は、「居心地がいい空間」「楽しい時間」を意味する言葉なのだとか。
誰かといる時も、一人の時も、「(心が)ほっこりする」過ごし方を大切にしているのかな、と想像しました。
屋外に出て、庭園に点在する彫刻を眺めながらぶらぶらと歩いていたら、スケッチブックを広げる2人のマダムを発見。
真剣に風景を描いていたのですが、ふいに手を止めて2人で話し始めました。
そして、絵を見せ合いながら女学生のようにきゃあきゃあはしゃぎだしました。
愛らしさ全開、プリティの極み!
率直に申し上げて画力は団栗の背比べ、あるいはどっこいどっこいでしたが、そういう問題ではないと気づきました。
大事なのは、アートを楽しむ心!
私は昔から「思い通りの絵が描けない」と奥歯を噛みしめながら描くことが多いのですが、出来など気にせず楽しく描けばよいのです。
無邪気にお絵描きを楽しむマダムたちが、キラキラと輝いて見えました。
ミュージアムカフェを満喫×2回
敷地内は想像よりもはるかに広く、歩き疲れたのでミュージアムカフェで一休み。
私にとって、ミュージアムカフェは1人で気軽に食事が楽しめる場所です。
感性が刺激されたせいか、チャレンジ精神がむくむくと湧いてきて、形から味の想像がつかない謎のケーキとコーヒーを注文しました。
クリームのフワフワと、マカロンのザクザク、パッションフルーツのさわやかな酸味、香り高きコーヒーとのマリアージュ。
すっかり魅了されました。
夕食も、ここで食べたい!
時間つぶしに再びアートを鑑賞(なんという贅沢)、ディナーブッフェの開始時刻が近づくと早足でカフェに戻りました。
皿という名の白いキャンバスを彩る芸術作品に心躍り、五感(特に味覚)が大いに刺激されました。
旧友に感謝!
油断大敵
電車でコペンハーゲンのØsterport駅に戻ったのが19時30分頃。
北欧の夏は日が長く、この日の夕暮れは22時頃でした。
なんとなくトイレに行きたい気がするけれど、ホテルまで徒歩30分程度だからきっと大丈夫!
駅のトイレ、有料だし。
※100円程度の出費をケチりました。
30分歩いた頃、道を間違えたことに気づきました。
駅からVの字のように延びている道の左の道に進むはずが、右の道を歩いていました。
出発点での、痛恨のミス!
歩けば歩くほどホテルから遠ざかっていく!
ひどく焦りましたが、冷静さを取り戻すために必死に自分を慰め、鼓舞し続けました。
駅から約1時間歩き、なんとかホテルにたどり着きました。
学び多き一日でした。
それではごきげんよう、よい旅を!
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