橋に恋して、呪文を唱えて。スイス郷土料理にときめく一人旅

橋に恋して、呪文を唱えて。スイス郷土料理にときめく一人旅

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ごきげんよう!
橋大好きソロトリライター、ヤマダイクコです。

旅先で1日2~3万歩平気で歩いていた若き日は遠くなり、加齢と体力低下が止まらない2019年。
長年「旅先で歩く=街を見て歩く=観光」と思ってきましたが、歩かずに観光したい。

旅先で楽したい。
歩数を節約しつつ楽しめる旅を検討した結果、のりものをメインにすればよいという結論に達しました。

それまで海辺の街を旅することが多かったので、今度は山国に行きたい。
そうだ、スイスに行こう。

私にとってスイスといえばライヘンバッハの滝、ハイジ、永世中立国、内陸国。
※ライヘンバッハの滝:シャーロック・ホームズ・シリーズ(コナン・ドイル作)の「最後の事件」の舞台。

列車なら座ったままで車窓から景色を楽しめるし、目的地にも行けます。
登山鉄道でアルプス観光……なんて素敵な響き!

そんな適当すぎるイメージのまま旅立った、2019年7月初旬のスイス旅行をお送りします。


水が豊かな街、ルツェルン

航空券は成田空港~チューリヒ空港の直行便、最初の数日はチューリヒ空港から鉄道で約1時間の距離のルツェルンのホテルを予約しました。
ルツェルンは、湖のほとりの静かな街です。

ちょっと足を延ばせば、登山鉄道でピラトゥスなどの標高2,000m前後の山に登ることもできます。
しかもルツェルンを流れるロイス川には、カペル橋とシュプロイヤー橋という歴史ある屋根付きの木橋が架かっているのです。

三角屋根!木橋!ダブル!
ぜひとも両方渡りたい!

インターネットで「スイストラベルパス」も予約しました。
期間内、スイスの主な鉄道・湖船・バスで乗り放題や割引などのサービスが受けられます。

現地でいちいち切符を買う手間も省けます。
ルツェルン中央駅から、その日の気分であちこち出かけるのも楽しそう。

さて、7月になると日本はかなり暑くなりますが、スイスもなかなかの猛暑でした。
スイスに到着したら、チューリヒ空港の気温はまさかの35℃。

ルツェルンに向かう列車の窓から時々湖が見えましたが、湖水浴で芋洗い状態でした。
老いも若きも水着でアウトドアを楽しむ様子はなんだか新鮮で、スイスの人々の日常を覗き見したような気分になりました。


二つの屋根付きの木橋

ルツェルン中央駅から地図を頼りに恐る恐る歩いてホテルに到着。
テンションが上がりすぎたのか、夜は2時間ごとに目が覚めました。

ダブルベッドを独り占め、右にゴロゴロ、左にゴロゴロ。
結局、予定より早い時間に起床。

「あー!よく寝たー!(棒読み)」

朝食後、朝7時半頃から散策開始。
ロイス川を目指して歩き始めました。

まずはシュプロイヤー橋へ。
1408年に要塞の一部として建造されたそうで、中世の雰囲気が漂っています。

ゆるい「く」の字型に折れた形で、梁には17世紀に描かれた67枚もの三角形の絵板がずらっと掛けられています。
橋に、絵を、飾る……!!

胸が高鳴ります。
こんな素敵な橋、渡っていいのかしら。

しばらくの間、橋のたもとで写真を撮りながらうろうろしていました。
橋に向かい、心の中で「お邪魔します」とつぶやいて軽く礼、意を決して渡りました。

上も木、横も木、下も木。
トントンと足音が響きます。

「うおー本当に木の橋だ!」と心の中で叫び、震えました。
欄干から川を見下ろすと、青く澄んで冷たそうな、そして予想外に激しい水流。

川に落ちたら危険!
急に怖くなって道の真ん中を歩くことにしました。(そういえば、高いところが苦手でした。)

スイス、ルツェルン、木橋、シュプロイヤー橋、カペル橋
絵板にはスイス連邦やルツェルンの歴史が描かれているそうです。三角の屋根付きの木橋の素朴なたたずまいにロマンを感じる。(1/3)

次はカペル橋へ。
14世紀前半に湖からの敵の侵入を監視するために架けれられたそうで、見張り塔といわれる八角形の「水の塔」が並んでいます。

17世紀に飾られた三角形の絵板(大半が火事で焼失したため復刻版)はなんと110枚、夏になると欄干に花が飾られます。
橋に、花を、飾る……!!

赤、薄紫、白のたくさんの花々にぐるりと彩られた美しい木橋。
昔からルツェルンの人々に大切にされ、愛されている街のシンボルなのでしょう。

足取りも軽やかにカペル橋を渡りました。


リギ・クルム駅

素敵な橋を2つも渡ってテンションが上がったので、列車で山に登ることにしました。
フィアヴァルトシュテッテ湖(ルツェルン湖)を船で渡りフィッツナウへ。

1時間程度の船旅、キラキラと光る水面、心地よい風、だんだん曇っていく空。
フィッツナウからリギ・クルムに向かう登山鉄道は、1871年に開業したヨーロッパ最古の登山鉄道なのだとか。

約30分乗車、リギ・クルムに到着。
ホームに降りました。

寒い!!
遠くまで山々が連なるアルプスのパノラマビューが望めるはずが、曇り空、パラつく小雨、吹きすさぶ風、とにかく寒い!

気温は、標高が100m上がるごとに約0.6℃低下する性質があるそうです。
ルツェルン(標高436m)からリギ・クルム駅(標高約1,750m)に上がると、約7.9℃下がる計算になります。

仮にルツェルンが30℃とすると、リギ・クルム駅は22.1℃の計算になります。
さらに小雨と強めの風が加われば、体感温度はぐっと下がります。

時々響く雷鳴。
駅からハイキングが楽しめるそうですが、防寒及び防水の装備がないためふもとに向かう列車に飛び乗りました。

下界は猛暑でした。
なんなの、この温度差。

たとえ夏でも、標高の高い場所に行く時は防寒の装備必須!と心に刻みました。

スイス、リギ・クルム駅、ホーム、登山鉄道
アルプスの大自然からのプレゼント?ウィンドブレーカーをホテルに置いてきたことを心底後悔しました。(2/3)

おいしい料理が食べられる呪文

ホテルに戻り、「旅ノート」を見ながらドイツ語を練習しました。
「ルツェルナー……クーゲリ……パステーテ(Luzerner Chügelipastete:仔牛のクリーム煮のパイ包み焼き)」

「ゲシュ……ネッ……ツェルテス(Geschnetzeltes:薄切り肉のクリーム煮)」
「ビュンドナー……ゲルシュテン……ズッペ(Bündner Gerstensuppe:大麦入りスープ)」

「旅ノート」は修学旅行の事前学習などで作る「旅のしおり」を自作したもので、私は持ち歩きやすいA5版のノートに予習したことやメモ、絵日記などを書き込みます。

スイス旅行の前に、旅行会社のパンフレットに載っていたスイス料理の写真を切り貼りしておきました。
もしも現地で困ったら、ノートを指さして注文すればよい。

ドイツ語の素養がないので、料理名がなんだか呪文のように感じます。
レストランで注文できるように、ぶつぶつと繰り返していたら気がつきました。

そうか、これは「レストランで唱えたらおいしい料理が食べられる呪文」!
おいしい料理のためならがんばれる、練習に熱が入りました。

翌日、勇気を奮って老舗のレストランに行きました。
入店したものの緊張しすぎて挙動不審になり、しまった予約が必要だったのかな、Tシャツで来ちゃったけどドレスコードあるのかな、などとあわあわしていたら、店員さんがににこにこと席まで案内してくれました。

なんとか注文し、一人でじっと待っていると、やがて素敵に盛りつけられた「ルツェルナー・クーゲリ・パステーテ(仔牛のクリーム煮のパイ包み焼き)」が運ばれてきました。
本物だ……とドキドキしながらパイの中を探ると、クリームで煮込まれた肉や肉団子がぎっちり詰まっていました。

驚きのこってり、和食にない味!
おいしい、しかし想像の5倍濃厚!

まごうことなきハイカロリー料理、なんたるごちそう……きっとお祝いやおもてなしの料理に違いない。
大興奮のまま無言で食べ続けました。

きっとこれはワインが進む味。
1週間分の動物性タンパク質を摂取できた。

心から満足し、オレンジジュースが入ったお洒落なラウンドグラスを傾けました。


泉(水飲み場、噴水)

レストランからホテルに戻る道、教会の前に「泉(水飲み場、噴水)」があるのに気が付きました。
それまで何気なく泉見ていましたが、そういえば日本ではあまり見たことがないデザインです。

スイス、ルツェルン、泉(水飲み場、噴水)
街のあちこちにある泉(水飲み場、噴水)の像や装飾は、みんな似ているようで違う形なので、見つけるたびに写真を撮りました。(3/3)

手の込んだ彫刻に興味がわいて写真を撮っていると、だれもが無料で水が使えるということに気がつきました。
ヨーロッパは水の使用にシビアなイメージがあったのですが(ペットボトルの飲料水を買う必要があるなど)、ルツェルンはよっぽど水が豊富なのでしょう。
※昔から人間や馬が利用してきた泉は、現在も×印や使用不可の注意書きがなければ飲めるそうです。

一つとして同じデザインの泉はありません。
泉を見つけたら写真を撮ることが街歩きの楽しみに加わったのでした。

それではごきげんよう、よい旅を!


おわり

最後までご覧いただきありがとうございました!

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