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ごきげんよう!
シャーロック・ホームズ大好きソロトリライター、ヤマダイクコです。
働くのが嫌になって退職、有り金はたいて20日間のロンドン・パリ旅行を決行した2004年秋。
初めての海外一人旅、心細いけれどきっと何とかなる(ただし英語は中学生レベル)。
ロンドンでミュージカルが観たい。
観劇の合間に歩き回って写真を撮りたい。
ロンドン、ベイカー街221Bに行きたい!
あこがれのシャーロック・ホームズが住んだ街をこの目で見たい。
欲望を胸に、パッションを燃料に旅立ちました。
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目次
いつも本棚にホームズの本
恐れ多くて「シャーロキアン」(熱狂的なファン)を名乗ることはできませんが、小学校の頃に児童書を読んで以来、文庫版、アニメ「名探偵ホームズ」(犬のキャラクター)、ジェレミー・ブレット主演のドラマ「シャーロック・ホームズの冒険」などを経てゆるゆるとファンを続けています。
ホームズが活躍した時代はヴィクトリア朝(1937~1901)の頃で、産業革命や工業化、科学技術の進歩とともに繁栄した、イギリス帝国の黄金期ともいえる時代です。
コンテンツの舞台を訪れる「コンテンツツーリズム」、「聖地巡礼」、「フィルムツーリズム」、「ロケ地観光」などは、昔から多くの人に親しまれている観光のスタイル。
お気に入りの作品に描かれている場所は魅力的に感じますし、ついでにご当地グルメを味わってみたくなりますよね。
作品のイメージと、地名、地図、実際の場所を自分の体で結びつけていく素敵で貴重な体験。
シャーロック・ホームズ・シリーズにはロンドンの地名がたくさん出てきます。
いわば、ロンドンはホームズのテーマパーク!
※個人の感想です。
ロンドンの地図を広げて、物語の舞台になった場所、関連の施設の開館時間などを書き込みました。
気になる場所を結んで歩けば、目的地にも行けるし、街並みの写真も撮れるというわけです。
当時はフィルムカメラ(コンパクトなAPSカメラ)や使い捨てカメラを使って撮影。
携帯電話をはじめデジタルデバイスを持っていなかったので、旅行中はずっとオフラインでした。
海外一人旅は孤独かと思いきや、日常生活のネットワークやしがらみから解放されて、自由で楽しい毎日でした。
物語の舞台へ
地下鉄のベイカーストリート駅のホームにはホームズの横顔のシルエットのタイルがあります(1枚欲しい)。
地下鉄のベイカーストリート駅を出るとシャーロック・ホームズのブロンズ像がお出迎え。
「いかにも!」な観光スポットもほいほい大喜びで出かけましたが、個人的にずっと気になっていたのはライシアム劇場。
長編小説「四つの署名」で依頼人の付き添いとして、ホームズとワトソンがライシアム劇場に行く場面があります。
どんな劇場なのかとドキドキしながら見に行ったら、堂々とそびえ立つ白い劇場にミュージカル「ライオンキング」の大きなフラッグやポスターが飾られていました。
歴史ある劇場の風格と、上演作品とのギャップ。
しかし、100年以上前の探偵小説に登場する建物が現役で、毎日たくさんの人々を楽しませる場であり続けている。
芝居好きの一人として、なんだか嬉しくなりました。

いざベイカー街へ
ベイカー街に行く日、早めに出発してシャーロック・ホームズ博物館の開館時間まで散策することにしました。
パディントン駅近くのホテルからハイドパークを南下してバッキンガム・パレスに行き、北上してベイカー街に向かいます。
10月中旬のロンドンはなかなかの冷え込みで、キオスクなどで£5~10のマフラーを見かけるたびに買いたくなりました。
しかし、節約のため我慢しました。
※当時の通貨は£1=約200円。
ハイドパークのサーペンタイン池は「花嫁失踪事件」の舞台。
寒さに震えながら池のほとりを歩いていると、水着で元気いっぱい寒中水泳をするグループを発見。
こんなに寒いのに、都会の公園で?
スイマーたちの強靭な身体と精神に衝撃を受けつつ、どこから水着でやって来たのか不思議になりました。
ハイドパークの南側にある乗馬コース、ロットン・ロウは、18世紀以降、上流階級の紳士淑女の社交場だったそうです。
砂が敷き詰められた馬場に、馬の足跡が続いてました。
その後、バッキングパレスの近くを歩いていると、車道を馬車が走っていきました。
リアル馬車!
テンションが上がりつつベイカー街に向かいましたが、たくさんの車が行きかう普通の舗装道路でした。
もちろん、ハンサムキャブ(辻馬車)は走っていません。
馬車の時代は遠くなり、すっかり車社会になった光景に拍子抜けしました。
気を取り直してシャーロック・ホームズ博物館へ。
架空の人物で、ここは博物館だとわかっていてもホームズの下宿にお宅訪問的な状況に緊張しました。
依頼人として訪問するというよりは、使用人に雇われて今日が初出勤みたいな気分です。
挙動不審になりそうなのをぐっとこらえて、入館しました。
そこには、物語の世界が広がっていました。

シャーロック・ホームズ博物館
リアル17段の階段!
興奮しすぎて途中で段数が数えられなくなりました。
リアル暖炉!
リアル窓&カーテン!
リアルVRの弾痕!
※VR:当時の君主Victoria(ヴィクトリア)Regina(女王)の頭文字。「マスグレーヴ家の儀式」参照。
暖炉で静かに燃える石炭、美しい食器の数々、噂通りの花柄(白地に青)の陶器の洋式便器(便座は木製)を見てテンションは上がりっぱなし。
屋根裏に積まれた古いトランクやバッグを見た時には、「誰か開けて……トランクの中も見せて!」と心の中で叫びました。
「こんなところまで見てもいいんですか?」とドキドキしながら覗いたホームズの寝室。
(見ないという選択肢はない。)
想像よりもコンパクトな寝室でした。
宿泊していたホテルの部屋のサイズと似ていたので、親近感がわきました。
19世紀末の中流階級の家、レトロな雰囲気のインテリア、テーブルの上などは雑然として生活感があります。
住人の暮らしぶりを空想しながら楽しい時間を過ごしました。
ありがとう、シャーロック・ホームズ博物館!
ありがとう、アーサー・コナン・ドイル先生!
ミュージアム・ショップでグッズや本を見るのも最高に楽しいひと時でした。
お宝ざっくざくですが、大人買いできるようなお金はないので絵はがきを購入しました。
博物館を出てから、大興奮&夢中になりすぎて1枚も写真を撮らなかったことに気づきました。
目にも脳にも心にも焼きつけたからよし!
※くっきりと焼きつけたつもりでしたが、20年も経つと99%以上忘却。記憶は頼りにならないので写真を撮るべきでした。
ベイカー街をそのまま北に進むと、リージェンツ・パークがあります。
この近さ、ホームズとワトソンはここを散歩したはず!
妄想と興奮、そして寒さに震えながら緑の美しい公園を歩きました。
黒い鉄柵
歩くペースで街並みを見ていると、色々な発見があります。
映画やドラマで気になっていた建物の前にある黒い鉄柵(フェンス)は、全部同じ形ということはなく、シンプルなものあり、装飾が多いものあり、多種多様です。
ごってり塗られたペンキが愛おしく、近くで見ようとしたら地下への階段や窓などが見えました。
単なる飾りというよりは、転落防止や防犯等のために造られた実用的な柵なのでしょう。
住民の生活を覗いてしまったことを申し訳なく思いつつも、長年の謎が解けてすっきりしました。

赤い郵便ポスト
道端にある昔風の赤い郵便ポストをよく見ると、円柱形だけでなく二つ口の楕円柱形、トップに装飾があるものなど、バリエーションが豊かです。
イギリス本土での郵便ポストの設置が始まったのは1853年、ロイヤル・サイファー(王を意味するシンボルマークのようなもの)を見ると設置された時代がわかります。
街歩きの途中で「VR」の印の郵便ポストを見つけた時は、ポストにハグしたくなるくらい嬉しくなりました。
100年以上前に造られた郵便ポスト。
ホームズやワトソンも、こんな郵便ポストから手紙を送ったことがあったのだろうか。
わくわくしながら、日本への絵はがきを投函しました。
それではごきげんよう、よい旅を!