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はじめまして!ソロトリライターのヤマダイクコです。
好きなトラベルグッズは地図、憧れの地形はフィヨルドと楯状火山【注釈/末尾】、好きな旅番組は「世界入りにくい居酒屋」(過去にNHKで放送)です。
本題までのアイドリングが長いのは作風です。
どうぞよろしくお願いします!
旅心(たびごころ)の種
高校時代、社会は地理を選択しました。
戦争と政治に興味がなく、年号と人名を覚えるのが苦手なので歴史は無理だと判断。
地理の授業では世界中の国や地域、地形や気候、産業などの基礎的な情報を学べたので、結果的には大正解でした。
文系コース約120人で地理を選択したのはたったの12人。
授業のたびに3階のそれぞれの教室から1階のどん詰まりの空き教室にバラバラと集まる、歴史からの逃亡者たち。
あの選択地理クラスの雰囲気を例えるなら、ワインボトルの底にたまったオリ(澱)といいますか、オリ(檻)のない動物園といいますか。
「センセー!そこ(板書)!ちげーし!」
「本当ですね。失礼しました。」
廊下まで響く女子生徒による誤字の指摘。
敬語を使うのは生徒ではなく、常に先生でした。
ああ、懐かしい選択地理クラスよ。
隔離された無法地帯、もとい、自由でゆかいな学びの場(色んな意味で)。
指名から逃れたい私は存在感の透明化を試みつつ、
氷河が地面を削るってどういうこと?!
溶岩に粘性なんてあるの?!
ホモサピエンス、伝播しすぎじゃない?!
などと密かに心をざわつかせていました。
世界、地球、どこもかしこもすごすぎる。
それにしても、個性強すぎ&気まぐれすぎな生徒らに、真面目に淡々と地理を教え続けた先生は、誰よりも強靭な精神の持ち主。
私の心に世界各地への興味の種、旅心の種をまいてくれたのはきっとこの先生です。
ご尊名は忘れてしまいましたが、あ然としたご尊顔はよく覚えています。
ミュージカルの本場NYの劇場でミュージカルが観たい
さて、富士山美しく湧水清らかな静岡県某所で生まれ育った私。
子どもの頃は電車に乗るのは年に1~2回(車社会のため)、飛行機は小学生の時の北海道旅行の1往復だけ。
外国は「テレビに映る世界」「本に書かれている世界」で、自分が行ける場所だとは思っていませんでした。
しかし、高校時代にミュージカルにハマり、本場NYの劇場でブロードウェイ・ミュージカルが観たいという夢をかなえるため、大学時代に友人と二人で初めての海外旅行へ出発しました。
NYに着くと「ウエスト・サイド物語」や「RENT」を彷彿とさせる景色の中に自分がいることに気づいて感動しました。
体つきも身なりも本当に色々な人がいて、英語だけでなく各地の言葉が聞こえます。
「なるほど、これが『人種のるつぼ』か!」「歩きやすい、碁盤の目状に整備された道路!」などと感激しました(地理で学習)。
9日間で7回ミュージカルを観ましたが、素晴らしい舞台はもちろんのこと、観客の正直な反応(割れんばかりの拍手、足を踏み鳴らして感動を表現(劇場が揺れる)、悪役へのブーイングなど)にも大いに刺激を受けました。
私は歓声とスタンディングオベーションを習得、観客としてレベルアップして帰国しました。
外国、行けるじゃん!
井原西鶴の言葉「金がなければ知恵を出せ!」
当時は就職氷河期、大した就職活動をせず卒業した私はアルバイトをしていましたが、働くのにうんざりして退職。
せっかく時間がたっぷりあるのだから、旅行、できれば海外旅行したい!
しかし、ちゃんと働いている友人たちは「連休なんて取れない」と言うし、通帳の残高は「無駄遣いするんじゃねーぞ!」と言います。
金……金が欲しい……!
ところで、ミュージカルの本場はNYブロードウェイだけではありません。
ロンドンのウエストエンドもまた本場。
「キャッツ」や「オペラ座の怪人」の作曲家、アンドリュー・ロイド・ウェバーのお膝元でもあります。
加えて、ホームズやワトソンが暮らすベイカー街はロンドンにあります。
子どもの頃からコナン・ドイルのシャーロック・ホームズ・シリーズのファンなので、原作を読み、ドラマやアニメ(犬のホームズ)を見て、ロンドンに憧れていました。
石造りの白い建物が続く風景を見てみたい。
あとは、大好きな漫画「エマ」(森薫著)、「銀曜日のおとぎばなし」(萩岩睦美著)もロンドンが舞台です。
ロンドンが私を呼んでいる!
やっと本題!いよいよ海外一人旅デビューへ
当時パリで暮らしていた友人が泊めてくれることになり、憧れのロンドンと花の都パリをユーロスター(高速鉄道)で結んだ20日間の一人旅を計画。
潤沢な予算があれば何か月でも滞在したかったのですが、チケット代、交通費、滞在費等を計算し通帳の残高をにらんだ結果この日数になりました。
通帳の残高が0になっても、また働けばいいよ!
準備を進め、ついに出発。
成田空港を夢見心地で飛び立った私は、ヒースロー空港の到着ロビーで現実に直面、真っ青になりました。
まわりのスーツケースを持った人たちは、税関を抜けるとそれぞれの方向に歩いていく。
知り合いは誰もいないし、日本語も聞こえない。
私はどこに行けばいいの?!これからどうすればいいの?!
不安と圧倒的孤独感に震えつつも、ロンドンの街をこの目で見たいという好奇心が勝ち、案内板を頼りに地下鉄のホームを目指して恐る恐る歩き始めました。
コンパクトで天井が丸い車両の地下鉄に乗って移動。
ピカデリーサーカス駅で下車して地上に出た時の感動は、今でもはっきり覚えています。
夢じゃない!本当に一人で来ちゃった!
一人旅、コスパ最高!
プランの決まっているツアーではなく、予約しているのは航空券と宿泊先だけ。
あとは行く場所も、何をするかも、現地で考えて、自分で決めて、自由を満喫する日々。
ロンドンの曇天と底冷え(英国留学時代の夏目漱石に同情)や、パリの故障中のエスカレーター(稼働していると逆にビックリ)も含めて、素晴らしい冒険の旅になりました。
そして、私はどこへでも行けるし、どこでも生きられるという謎の自信がつきました(良くも悪くも)。
帰国後、20本ものフィルムを写真店で現像・プリントしたらなんと700枚超!現地で書いた旅日記とともに私の大切な宝物です。
今でもあの時のロンドンやパリの景色をふと思い出すことがあるし、旅日記を読み返して「そんなに寒けりゃマフラー買いなよ。安いの1,000円くらいでしょ?」と苦笑することもあります。
普段は忘れていても、私の中にはたくさんの大切な旅の思い出が蓄えられているのだと実感します。
旅の思い出は、素敵なことは喜びや心の支えに、失敗したことは学びやネタになります。
他の誰にも奪えないし、時間が経つにつれますます美しく、愛おしくなっていきます。
脳内で盛ってる。
何はともあれ、生きて帰れてよかったです。
一番大切なのは命。命がなければ、地球で旅できませんからね!
漫画+コラム連載のお知らせ
一人旅の漫画+コラムを連載させていただくことになりました。
今後、書きたいと考えているのは、
- 上毛高原、山里の温泉宿で自分史上最高に金田一耕助の旅
- 「歩く」と書いて「旅」って読むんでしょ?歩くよね、1日3万歩
- 真っ赤な風船のチーバくんと走る銚子鉄道、濃厚な郷土愛、泣いちゃいそうだよ(空が)
などです。ロンドン&パリの話もまたいずれ。
一人旅はネタの宝庫。
思い出すまま、気の向くままに書いていきます。お楽しみに。
それではごきげんよう、よい旅を!
【注釈】フィヨルド:氷河の浸食作用によるU字谷に海水が入り込んだ複雑な地形の湾(ノルウェーなど)
盾状(たてじょう)火山:粘性の低い溶岩の堆積により形成(ハワイのキラウエア火山など)
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