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ごきげんよう!
一人旅はシティ派のソロトリライター、ヤマダイクコです。
一人旅初心者の頃は旅といえば都会、観劇遠征のついでに観光していました。
パフォーミングアート最高!ミュージカル最高!
そんな私が田舎で一人旅に挑戦。
今回のテーマは次の2点です。
・温泉や自然は心身を癒すのか?
・アウェーをホームにするには?
上毛高原駅及び周辺地域、あるいは田舎を否定したり侮辱したりする意図はありませんので、ご承知おきください。
発端
2017年晩夏、猛暑と日常生活に疲れた私は、何ものにもわずらわされぬ孤独と休養を求めて、田舎で一人旅をしたいと考えました。
古来より温泉は心身を癒すといわれています。
自然の中で新鮮な空気を吸い、温泉でのんびりしたらリフレッシュできるのではないか。
静養地をあれこれ思い悩んだすえ、上越新幹線の上毛高原駅(群馬県みなかみ町)が最寄りの某温泉旅館に2泊すると決意しました。
正直に言うと、上越新幹線沿線では越後湯沢駅がおすすめです。
米どころ新潟県、日本酒もおいしい、川端康成の「雪国」の舞台、夏はハイキング、冬はスキーやスノボが楽しめる、ザ・観光地!
駅ビルも充実しており、飲食店、土産物店はもちろん、地酒の利き酒(有料)や酒風呂(有料)まで楽しめます。
それに比べて、上毛高原駅は難易度が高い。※個人の感想です。
それなのに、交通と宿しか調べず、あとはノープランで旅立ちました。
宿さえ予約しておけば、あとはどうにかなるでしょ。
暗中模索
上毛高原駅で下車、宿まで約2.5kmの道のりをタクシーで移動。
車窓から見えるのは緑の木々!棚田!完全なる山里!
緊張しつつチェックインすると、昭和の風情が残る広々とした和室に通されました。
実家との共通点が多いせいか非日常に浸ることができず、初対面の親戚の家にいきなり泊まることになったような微妙な居心地の悪さを感じます。
私はここで一体何をすればよい
のか。
完全なるアウェー感に耐えかねて宿の周囲の散策に出かけると、足元から遠い山々まで美しい緑が続いています。
コンビニどころか、道端に自動販売機もない。
豊かな自然に囲まれるのは素敵ですが、あまりにも人の気配がないので不安になって引き返しました。
「来ちゃったものは仕方ない」と途方に暮れつつ、ぼんやり客室内を見回しました。
「あ~、金田一さんが泊まりそうな宿の間取り……」
突然ですが、私は中学生の頃から横溝正史の探偵小説、金田一耕助シリーズを愛読しています。
金田一は陰惨な事件が続いて消耗すると、孤独と休養のために田舎の温泉宿に逗留する(そして新たな事件に巻き込まれる)のです。
私は今、金田一と同じことをしている!
金田一の部屋(仮)に、私はいるんだ!
脳天から楔(くさび)をぶちこまれたような驚きを感じました。
(旅を盛り上げるため、全力で妄想することにしました。)
金田一耕助登場(脳内)
「よし、わかった!」
妄想のスイッチが入り、事件現場の捜査のように客室内を観察。
畳や敷きっぱなしの布団の上でゴロゴロしている金田一、ドラマや映画で見たことある!
本も新聞も読みっぱなしで部屋が散らかるはず!
煙草を吸うならこの辺、灰皿に山盛りの吸い殻!手ぬぐいを干すならこの辺!
食事、生卵は出るかしら?(映画「犬神家の一族」(1976)参照)
そうだ!浴衣で温泉に入りに行ったら金田一度(?)が上がるのでは?!
先に湯船に入っている人が重要人物だったりするのよね……。
山里の温泉宿で密室殺人事件……被害者(死体)役ならできるかも。
(死体役だって大変ですよ……っていうか、こんなところで密室殺人事件があったら宿の人たちが迷惑する。)
部屋でゴロゴロしていると、青い顔した警部たちが「事件です!」って飛び込んでくるんだな。
ここが金田一の部屋(仮)で、私も金田一的な滞在で……
もしかして、いつか金田一みたいに飄々と生きたいという夢(中二病)が部分的にかなっているのでは?
えっ、今日の私、自分史上最高に金田一耕助?!(最高潮)
下駄とか足袋とか用意してくればよかった~!
脳内アクセル全開ハイテンションな状態で、室内をうろうろしながら遊び続けました。
そして、気がすむとリュックサックから毛糸とかぎ針を取り出し、夕食の時間まであみものに熱中。終始無言。
「金田一、あみもの、昼寝の3択で楽しめばよい」そう決めると、ようやく心身がくつろぎました。
アウェーだった宿が、ホームになった瞬間でした。
ちなみに、一番の大事件はうっかり注文し忘れて2日目が昼食抜きになったことです。
持参していたお菓子を食べました。解決!