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目次
ごきげんよう!
建物見学大好きソロトリライター、ヤマダイクコです。
みなさんは旅先で写真を撮りますか?
私は海外旅行のたびに何百枚と撮りますが、9割は風景(主に建物や街並み)です。
記念写真なんかいらない!
私は私が見た風景を記録したいんだ!
というわけで、今回は個人的な建物の楽しみ方に、2023年6月の豪邸見学の写真を添えてお送りします。
梅雨の晴れ間の平日を狙った計画的な日帰り一人旅。
朝の通勤ラッシュを避けて駒場東大前駅へ、「旧前田家本邸」見学後、湯島駅に移動。
昼食後「旧岩崎邸庭園」見学、不忍池(しのばずのいけ)から上野駅まで散策、帰宅ラッシュを避けて帰る、というコースです。
背景資料、いつか使うから!
クレヨンで壁や襖(ふすま)に絵を描いて叱られた幼児は、少女漫画の絵を真似して描くりぼんっ子に成長、つけペンを使い始めた中二病の頃に愕然としました。
「人間だけでは漫画にならない!」
ストーリー漫画には、背景、衣服、食べ物など、人間の周囲にあるものが描かれています。
この日から、人間の生活(衣食住)を意識するようになりました。
作画用の素材として建物を見るので、一番気になるのは「形」。
頼りにならない記憶を補うために撮影、記録、保存。
もはや習慣ですが、野生動物(リスなど)の貯食行動に似ています。
(脳内で)住んでみよう!
鑑賞の面白さは、知識や人生経験が加わると等差級数的に、推しや妄想が加わると等比級数的に増加します。
当事者意識により、親近感がわきます。
※個人の感想です。
家屋を見学する時は、住むつもりでチェックします。
どこで寝るか、キッチンやトイレの使い勝手、日当たり、照明やコンセントの位置、動線、窓の開閉や玄関の戸締り、メンテナンス、周辺環境等々、不動産物件の内見の感覚です。
「ここは推しの家」(お宅訪問設定)もおすすめ。
テンション&集中力UP!
オプションで建築主や設計者、時代背景、来歴などの情報をプラス。
今回の建物見学では、こんなことを考えました。
戦前の上流階級の生活のイメージをベースに、バス・トイレの場所(複数)、家族の部屋と使用人の部屋の違い、社交の手段、警備、馬の飼育、戦中・戦後の食糧難の時代等々(妄想を含む)。
無限に楽しめます。
つまり沼。
参考図書
「見るのと観察するのとでは大違いだよ」(シャーロック・ホームズ)
注意深く観察することで、発見があるかもしれません。
20代の頃に読み、「ものの見方」について影響を受けた本(文庫本)を紹介します。
それぞれの着眼点、飽くなき好奇心、そして「面白がり方」が面白い。
1.宿泊した部屋の間取りの記録の極み
「河童が覗いたヨーロッパ」妹尾河童 著(新潮文庫)
2.間取図を見て楽しむ、遊ぶ
「間取りの手帖 remix」佐藤和歌子 著(ちくま文庫)
3.無生物を愛でる
「見仏記」いとうせいこう、みうらじゅん 著(角川文庫)
情報収集・準備
限られた時間でスマートに見学するためには、事前の情報収集と準備が大切です。
夜行列車に乗って四国へ行き、目的の施設が休館していたら泣くに泣けないですよね?(実話)
公式サイトに見学や撮影の注意事項があるので、熟読しましょう。
見学のルールには、文化財の保存や安全管理、混雑時の入館制限、土足禁止かつ裸足不可、キャリーバッグ不可などがありますが、施設ごとに違います。
撮影のルールには、撮影可能な時間の限定(平日のみ等)、場所の限定、人物の撮影不可、持ち込みの物品の撮影不可、三脚・自撮り棒の使用不可などがあります。
古い建物には冷暖房がないこともあるので、暑さ・寒さの厳しい季節は覚悟しましょう。
旧前田家本邸
旧加賀藩主前田家の第16代当主、前田利為(まえだ としなり)侯爵の邸宅。
国の重要文化財。
由緒正しい家柄に加え、華族令での高い爵位(五爵の第2位)、そして華族きっての大富豪。
主に洋館が生活空間、和館が迎賓施設です。
当時「東洋一の大邸宅」と評されました。
エレガントかつシックな装飾の内装と家具のコーディネートがゴージャスで極上のマーベラス(落ち着こう)。
あちこちに大理石、ステンドグラス、シャンデリア!
堂々たる暖炉は装飾(マントルピース)で、セントラルヒーティング完備!
※地下にボイラー室(非公開)あり。
※ストーブ(石油、ガス、電気)が作られるようになったが、囲炉裏、火鉢、こたつなどを使う家が多かった時代。
セレブの快適な生活のために、隅々まで美しく整えられたお屋敷。
建築主、設計者、職人、それぞれが高い美意識とプライドとをもって建築に取り組んだことでしょう。
- 住所
-
東京都目黒区駒場四丁目3番55号
住所をコピーする - 開館時間
- 午前9時〜午後4時
- 休館日
- 洋館:月曜日・火曜日(ただし祝日の場合は開館)、年末年始 (12月29日から1月3日まで)
和館:毎週月曜日(月曜日が祝日とかさなった場合はその翌日)、年末年始(12月28日から1月4日) - 見学料
- 無料
- HP
- 洋館:https://www.syougai.metro.tokyo.lg.jp/sesaku/maedatei.html
和館:https://www.city.meguro.tokyo.jp/douro/shigoto/kouen/komaba.html
旧岩崎邸庭園
三菱の創設者、岩崎彌太郎(いわさき やたろう)の長男にして第3代当主、岩崎久彌(いわさき ひさや)の邸宅。
国の重要文化財。
旧前田家本邸とは逆で、主に洋館が迎賓施設、和館が生活空間です。
建物には建築主の考えや好み、金銭感覚が反映されます。
お金とやる気、そしてたくさんの人の働きによって、こんなにも美しく、立派な家が建てられる。
120年以上前の建物が現存することも、内部を見学できることも、本当にありがたいことです。
洋館にはたくさんの暖炉がありますが、ボイラーによるスチーム暖房も配備。抜かりなし!
建物や内装は輪郭がくっきりとデザインされている感じがします。
イギリス人建築家、ジョサイア・コンドルは1877(明治10)年に現在の東京大学工学部の建築学の教師として来日。
鹿鳴館やニコライ堂、三菱一号館~三号館など、数多くの本格的西洋建築を設計しました。
運動場のように広大かつ美しく手入れされた芝生の庭を眺めていたら、「金持ち~!」と全力で叫びたい衝動にかられました。
ぐっとこらえました。
- 住所
-
東京都台東区池之端1-3-45
住所をコピーする - 開館時間
- 午前9時~午後5時(入園は午後4時30分まで)
※イベント開催期間など時間延長が行われる場合もあります。 - 休館日
- 年末年始(12月29日~翌年1月1日まで)
- 見学料
- 一般:400円
65歳以上:200円 - HP
- https://www.tokyo-park.or.jp/park/kyu-iwasaki-tei/
- SNS
和風建築、もっと知りたい!
雑誌「建築知識」(2023年9月号)の特集「和風住宅全史」を繰り返し読みました。
部位名称や用語は全然頭に入りませんが(諦観)、図と解説により、時代や用途によって多種多様な建物が作られてきたことがわかります。
昔ながらの和風住宅は、木造の解放的な間取り、襖を取り払うと広い座敷になるなどフレキシブルで合理的な建物。
日本の気候風土、生活習慣等にフィットしています。
日本人は温暖湿潤な変化に富む自然環境(情報量が多い環境)で暮らしているので、色も形も単純化された和室(情報量が少ない環境)に安らぎを求めたのかもしれません。
一方で、幕末以降は西洋化、科学技術・建築技術の進歩により、洋館など新しい建物が増加。
東京では関東大震災や東京大空襲で多くの建物が倒壊・焼失しましたが、建物が一掃されると都市計画と建築ラッシュで街並みは一新。
そして、現在は高層ビルが立ち並ぶ世界有数の大都会に。
東京、パワフルすぎる。
必要経費です!
豪邸をたっぷり見て大満足で帰宅、パソコンで確認したら室内の写真の一部が激しくブレていました。
筋力が衰えたらもっとブレるのではないかと心配になり、後日秋葉原の家電量販店へ。
販売員(カメラ担当)に相談したら、スマホカメラの普及により、コンパクトデジタルカメラ市場は安価なもの(トイカメラなど)か、高価なもの(高性能・多機能)かの二極化が進んでいるとのこと。
比較検討の結果、予定の3倍の値段、3倍の重量のデジカメを購入しました。
予備のバッテリー、レンズフィルター、ストラップ、カメラバッグなども追加。
新しいカメラは可愛いし、撮影する楽しみが増えたし、買ってよかったです。
おや?ここはカメラ沼?(たぶん浅瀬)
見て撮るだけでなく、雰囲気や温度、湿度、においまで感じられる建物見学。
五感が刺激されます。
※味覚は近隣の飲食店でお楽しみください。
※併設のレストランやカフェがある施設もあります。
一人旅なら、同行者を待たせずに思う存分味わえる。
建物と私、一対一の贅沢な時間です。
それではごきげんよう、よい旅を!
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